私は、堪らず尋ねた。あなたは、古葉龍青なのかと。
けれど彼は、静かに目を閉じて首を振った。
「今のあなたもまた、その両手に九色の運命を握っています」
無意識に握り込んでいた手を、そっと開いた。眼鏡をかけていても、やっぱり私の目には、彼の言う糸は見えない。
「もしかしたら、あなたなら叶えられるかも知れない。取り戻せるかも知れない。彼が擲った命を。今度こそ、二人が巡り会える世界を」
そこで区切ってから、彼はゆっくりと、一度だけ瞬きをしてその瞳に私を捕らえて尋ねた。
「もし可能だと言われたら、あなたは今、ここで彼と同じように命を差し出しますか」



