「一つ、伝えとかないといけないことがあるんだが」
そのことについては何も聞かないでおくことにしてくれた一石は、改めてそう切り出した。しかし、さっきの今で、その言い方に思わず身構えてしまう。
「授賞式のこともあって、上に掛け合ったら了承してくれたよ」
――例の続きを載せたものを、一冊の本にまとめると。
「え。じゃ、じゃあ……」
「俺らの悲願は無事、叶えられそうだよ」
「まだ非公開の情報だから、くれぐれも内密にな。勿論了安先生や快慶にもだ」と釘を刺す声に何度も頷きながら、堪えきれない涙を流す。
「頑張ってくれて、ありがとうな。青崎」
「私は。何も。一番頑張ってくださったのは一石さんで」
「でもお前がいなかったら、ここまで頑張れなかった。俺も、勿論佐裕子も」
「いっこくさん……」
――だから、ほんとうにありがとう。
少しだけ、涙でにじむ声には、気付かない振りをしてあげた。



