「相変わらずの華麗なスルーをありがとう」と、喜んでいる了安はさておき。
「お姉さんも知ってますよね。おっさんの小説が実写映画化されるの」
「実はそれに、追加キャストで出演することになったんだー」と、嬉しそうに頬を綻ばせる糸に、ファンとして小さな叫び声を上げる。
「おめでとうございます!」
「超超脇役ですけどねー」
「でもでも、これをきっかけに頑張っていくつもりなんだー」と、現状に満足せず挑戦する姿勢を見せる彼女に思わず拍手を送る。
「すごいです! 応援していますね」
「ありがとー。お姉さんも、いろいろ大変だと思うけど頑張ってくださいねー」
「頑張っても絶対、悪いことばっかりじゃないからさ」と、糸の決め台詞がばっちりと決まる。
「現状に満足せず、か」
その言葉は、今まさに自身に問われること。なかなか踏み出せない一歩に、勇気も、時間も、私には人の何倍も必要だった。
けれど、いつまでもそうは言っていられない。きっとこれからの方が、壁にぶつかる回数は多くなる。今まで変わることを恐れていたけれど、いい変化になったこともたくさんあった。それを忘れずに、少しずつでも変わる努力をしていかないとダメだよね。



