「ごめんなさい新堂くん」
どうか、その笑顔が曇りませんようにと、そっと願いながら頭を下げる。
「お返事が、遅くなってしまい申し訳ありません」
「い、いえ! 俺の方こそすみません!」
すると、体を半分に折り畳む勢いで彼にも頭を下げられた。
「いやーダメですね。我慢強い男でいたかったのに」
「新堂くん……?」
「青崎さんのタイミングでと思っていたんですけど。つい、焦っちゃいました」
上がってきた顔は、申し訳なさそうな顔でありながら、照れくさそうで。そしてどこか悔しそうでもあった。
ゆっくりと横を通り過ぎて窓際へと立った新堂は、先程の私と同じように黒い雷雲を見上げる。
「ずっとね、守ってあげたいなって思ってたんです。いつもあなたは、今にも壊れてしまいそうだったから」
「ふふ。そんなにやわじゃないですよ」
「そうなのかもしれませんね」と、彼は静かに笑った。じっと、私を見つめながら。私の向こう側の何かに、思いを馳せるように。
どう反応を返せばいいか困っていると、何を思ったのか新堂は、ふっと軽く噴き出して笑う。
「なんか、変わりましたね。青崎さん」
「いい意味でですか?」
「もちろん。変えられたのが俺ではなかったのを、すごく残念に思うくらいには」
「新堂くん……」



