青い青い空


 その後、「本当は自分が買って贈りたいって言い張ったんだけど、流石にそれは重いからやめなさいって言ったらしばらく落ち込んでてね。それはそれは見物だったわ」と。こっそり教えてくれた佐裕子は、ついでにもう一言だけ耳打ちしてから、休日にもかかわらず仕事に出かけていった。


 * * *


 ショーウィンドウに飾られた、真っ白なウエディングドレス。結婚願望が今までずっと、全く皆無だったのかと言われれば、それは否だ。


「お待たせ」


 女の子なら、誰もが憧れるそれを見上げていると、会計を済ませた一石が帰ってくる。


『上司じゃないあいつのことも見てやって。どれだけ時間がかかってもいいから、伊代ちゃんが出した答えを、伊代ちゃんの言葉で伝えてあげて』


 専務である彼女は知らないのだろう。二人でいる時は、上司の仮面を外していることを。会社の外で会ったこともあるし、家にもお邪魔したことがある。一緒にモーニングを摂ったことも。

 だから多分、もう結構知ってる。龍ノ平一石という人が、一体どういう人なのか。

 今もそう――芽を出しかけたそれを早々に根刮ぎ摘み取った頃から、ずっと見ていたんだから。