がっくりと効果音が付きそうなほど項垂れた一石だったけれど、次に顔が上がってきた時には、いつも通りの彼に戻っていた。
「それで? どうして上の空だったんだ」
「全然大したことじゃないですよ」
「由良野に先を越されて悔しがっていたくらいには心配した」
「……ただ、空が青いなあって。古葉さん元気かなって思ってただけですよ」
「なら、今はそういうことにしといてやる」
「だから、そうなんですってば」
ハイハイと軽くあしらう目敏い彼らに、私が隠し通せる日はやって来るのだろうか。
「話は変わるんだけど、お前パーティー用のドレスとかって持ってる?」
「えっ。スーツじゃダメなんですか」
「ダメじゃないが、個人的にはあまりお勧めしない」
「完全にスーツで行く気満々でしたよ」
頭の中で家計簿と通帳を取り出し電卓を大急ぎで叩いていると、「日曜日空いてるか?」と言われた気がして、特に何も考えないまま気付けば反射的に、空いてますと答えた。
「じゃあドレス見に行こう」
「そうですね」
そこまで言ってからようやく、電卓を叩いている場合でなかったことに気付く。顔を上げると案の定、一石はしてやったりという表情。
(あのそれ、もしかしなくとも……)
で、デートってことですか……っ?



