「――虹って何色か知ってる?」 唐突に投げられた問いに、手元の本から僅かに視線を上げる。 前の席に座るその人は窓枠に頬杖を突いて、眩しいほどの青い空を見上げていた。 しかし、雨上がり特有の嫌な匂いのせいなのか、何故かその横顔からは何の感情も読み取れない。いつもの優しい笑顔と比べると寧ろ冷たさを覚えるほど。 もしかすると、見てはいけないものを見てしまったのかもしれない。 吹き込む風にカーテンが揺れたタイミングで手元に視線を戻しながら、七色でしょとぼそり答える。