「正直、久賀野くんの事情なんかどうだっていい」
「お前、なんでそんな強火なんだよ」
「今大事なのは、黒瀬ちゃんを避けてるという事実だけだから」
「俺の気持ちは?」
「黒瀬ちゃんの気持ちは?」
「…………」
「取り敢えず二人で話してきなよ。喧嘩になりそうなら、ちゃんと仲裁に入ってあげるから」
「そこまでお前に迷惑かけられねえよ」
大きく息を吐き――よしっと頬を叩いて活を入れた久賀野は、勢いよく立ち上がった。
「惚れた弱みだ。お前の言うとおりにするよ」
「余計なこと言わないでいいからさっさと行って」
「なんだよ。今日照れなし?」
「根性叩き直してから出直して」
何がそこまでおかしかったのか。手を付けていないCセットを右京に任せた久賀野は、ハハハッ! と楽しそうに笑いながら、食堂をあとにした。
「あの、私何か変なことでも言いました?」
「言ったんじゃないですか。あれだけ笑われてましたし」
まあ、二人の仲が元に戻るなら、こんなの安いものだけど。



