真っ暗な夜空を仰ぎ見る。夏は好きだ。世界のコントラストがはっきりとしているから。
でも夜空は、冬の方が好き。澄んだ空気のおかげで、都会の空でもはっきりと星が見えるから。
「あ」
その声が聞こえた時にはもうだいぶ遅かった。持っていたバニラバーが、いつの間にか指を伝って地面に白い滴をぽたぽたとこぼしていた。
「勿体ない!」
「第一声がそれでいいんですか」
それが本音だからいいんですと、大慌てで指に伝ったそれを舐めて、溶けかけていたバニラバーも完食した。
その横で彼はおかしそうにくすくすと笑っている。
「な、なんですか」
「いえ。これはまた大変だなと」
「わかってますよ。すぐに手を洗って」
「まさか、三名ほどから告白されていたとは」
てっきりアイスに対しての貪欲さに笑われたのかと思ったが、「相変わらずモテモテでいらっしゃるんですね」とそんなことを言われる始末。まさか、彼にだけ見える運命の糸とやらに、変化があったとでもいうのか。
「まあ好意だけで言えば、相変わらず全指から集中攻撃を受けているみたいですが」
「しゅ、集中攻撃……」
果たして、好意は攻撃に入るのか否か。



