取り敢えず、頭の中で整理整頓してから、ゆっくりと口を開く。
「あれだけ話さなかったのが嘘みたいに、今では結構何でも言い合えるようにはなったんです。だからか、弟の話につい、むっとしてしまって」
「そして思わず当たってしまったと。珍しいですね。傷付くのが怖くて他人を傷付けられないあの青崎さんが」
「……あの。言葉の端々に違うニュアンスを感じるんですが」
「気のせいでは?」
やっぱりこの人いい性格してるわと、じと目を向けながら、注文したトマトとモッツァレラのカプレーゼに口を付ける。そんな私を見てふっと意味深な笑みを浮かべた右京はというと、「いい傾向ですね」と呟きながら少し濁った酒に口を付ける。
聞き捨てならない台詞に、思わず噛み付いた。
「喧嘩していることのどこが」
「少なくとも、今までの青崎さんとは違いますから」
「どう考えても悪化してるじゃないですか」
「変化をどう取るかは人によって様々です。けれど、こういう諺だってあります。青崎さんにはもしかすると、全く縁の無かった言葉かもしれませんが」
喧嘩するほど仲がいい――と。



