それを遮るように、ピピッとアラームが鳴る。おかげで我に返ると、目の前には少し困惑した様子の宵がいて。
ごめんなさい。何でもないのと、流しっぱなしだった水を止めてエプロンを脱ぐ。そのまま逃げるように仕事の鞄を引ったくった。
「夕食は外で食べてきます」
「おい」
「ごめんなさいムキになって。どうかしてた」
明日には頭も冷えてるからと、玄関を飛び出す。
もう逃げないと決めたにのと、馬鹿な自分に泣きそうになった。
* * *
「……あ。青崎さん」
「んあ? おお。おーい青崎ー」
情けない自分を叱咤しながら会社に戻ると、ちょうど喫煙所から出てきた右京と野田に遭遇する。あれだけ『死んでも嫌』というフレーズが好きな割には、なんだかんだと仲がいいらしい。
「どうかされましたか」
「顔色が悪いぞ」
「大丈夫です。ちょっと寝不足なのと、自分を戒めていただけなので」
首を傾げる二人には慌てて何でもないことを告げ、そう言えばと右京の顔を見上げる。
「僕の顔に何か?」
「大したことじゃないんです。右京さんも、別に知りたいわけじゃないと思いますし」
「なんだ? とうとう一石とくっついたか?」
「そ、そうじゃないんですけど……というか、何で野田さんまで」
「ご存じありませんか?」
「何をですか?」



