『青崎さん』
彼は、私の名前を強く呼んだ。
『俺にはやっぱり、彼がこの本の続きをここに遺したのには、何か意味があるんじゃないかと思うんだ』
『だから、読んであげて欲しい。この通り』と、ただただ彼は、必死に頭を下げてくる。
『一つ。お伺いしてもいいでしょうか』
『勿論。俺で答えられることなら』
『この本の、続きはどうなったんでしょうか』
『この本はこれで完結。続きはお蔵入り。非公表だってさ』
この本を読んだことはない。この本を書いた人だって、どんな人だったのかわからない。何も知らないに等しいのに、そうなってしまったことがとても悲しくて、とても苦しい。
『ねえ青崎さん。一回だけでもいいから読んでやってくれない? それでもし、よかったと。そう思えたなら。俺と一緒に、こいつのことを世界中に広めないか』
『世界中に?』
『こんな奴がいたんだって。こんな物語を書く奴がいたんだって。もっと、いろんな人に俺は知って欲しいんだ』
『それは、……すごく。すごく素敵なことだと思います』
もしできるなら、願いを叶えてあげたいと思った。彼の強い思いに、必死な姿に応えたいと。



