青い青い空


 これが、頭がふわふわしている原因の一つ。もう一つは、ふわふわと言うよりそわそわかもしれないが。


『伊代ちゃん伊代ちゃん! 宵くんついに彼女ができたのね!』


 昼食に一時帰宅しようとしていた私を捕まえた店長のかおんは、少し興奮した様子で話してくれた。恐らく夕べのことだろう。

 変なことを聞いて機嫌を悪くさせては不味いと思い、敢えて野暮なことは聞かないようにしていたが、やっぱりそうですよねと一人納得したものだ。


『実はあたし、ちょうど見ちゃったのよ! 二人がキスしてるところ!』


 きゃー! と一人盛り上がっているかおんには、顔を引き攣らせながら、そうですかと返すのが正直精一杯だった。

 三十二歳、独身、未だ恋愛経験なし。それでも別にいいと特に気にしてはいなかったが、弟に先を越されたと思うと、本気でちょっと焦る。一回り以上下の弟の方が経験豊富とか、姉として如何なものかと。