「家に帰ったらさ、さっきピヨちゃん帰ったよって、言うんだわ快慶が」
「だ、だからって」
「んな顔すんなよ。ただの点数稼ぎなんだからさ」
「て、点数稼ぎ?」
「まあ、俺がただ一緒にいたかったっていうのも、理由としてないわけじゃない」
「んじゃ青崎さん、また明日」と、彼は後ろ手に手を振って地下へと下りていった。
「また明日、って……」
一体どんな顔をして出勤すればいいのか。経験値ゼロの私には、到底無理な話だった。
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「……おっ! あの様子はどうやらいちゃついていたようだねえ。公衆の面前でやるう」
「勉強の邪魔する奴は消えろっつったんだけどな」
「本当は気になって仕方がないくせにい。そう言うのなんて言うか知ってる? シスコンって言うんだよ」
「帰る」
本気で席を立とうとする俺の袖を掴みながら、「ごめんごめん。勉強するからさー」と、砂押はペンを走らせた。
「でも、これでも心配してるんだよ。放っておいていいのかなって」
「いいんじゃね。寧ろあんな奴でもいいって言ってくれる奴の方が貴重だし」
「強がっちゃってまあ」とこぼしながら、「すみませーん! メロンソーダ一つくださーい!」と砂押は空気も読まずに注文を叫ぶ。
「そんなこと言ってると、本当にそうなっちゃうんだからね」
「何に対してキレてんだよお前は」
「お姉さん本当に捕られちゃうかもよ」
「あいつが決めたことならそれでいいだろ」
「まあ悪い人ではなさそうだったけどさあ」
「あいつは無害だよ」



