そんな風に思われても仕方がないのは、長年の経験からよく身に染みてわかっていた。ただでさえ会社でも噂になっているほどだ。
確かに一石はかっこいい。見た目も勿論、中身もダントツにずば抜けていて惚れ惚れする。仕事をこなす姿もかっこいいし、ただコーヒーを飲む姿だってかっこいい。コンタクトを外した眼鏡の時も、正直本気で推せる。欠点なんか到底見当たらないし、こんな完璧な人きっとどこを捜してもいな――
「青崎ストップ」
「へ?」
「もう、その辺にしてくれ」
「……もしかして、口に出してました?」
隣から返ってくる無言は、恐らく肯定の意思表示。
「わあお! 何その初々しい反応! お姉さんかわいすぎー!」
「す、すみません!」
「全然謝ることも隠すこともないのにー。ねえ? お兄さんもかわいいと思……」
「って、こっちもガチ照れかい」と言う砂押の声に、思わず顔を隠していた両手の指をそっと開いて確かめた。顔は完全にそっぽを向いていたが、ちらりと向けられた視線は、彼女の言っていたとおりのものに見える。
「もおーなになにー。もしかして今一番美味しい期間? どっちが告ったのー」
「砂押」
「宵ッチも気になるよね! 未来のお義兄さんになるかも――」
そこまで言いかけて「あ~すんませ~ん」と、彼女はそれ以上は口を噤んだ。何となくだけど、宵に睨まれたのだと思う。
「おい。誰がとは言わねえ。言わねえけどな」
勉強の邪魔する奴は、さっさとどこか消え失せろ。



