夕食の準備もあるしちょうどいいと思っていると、「ええー。もう帰っちゃうんですかー?」と、かわいい砂押に引き留められた。できることなら私も、もう少しだけこのかわいい顔を拝んでいたかったよう。
「ここで会えたのも何かの縁ですし、もうちょっと話していきましょうよー」
「お前は勉強しろ」
「お兄さんは、お姉さんとはどういうご関係なんですかー?」
「え。俺? というか、お兄さんと言われるような年齢じゃないんだけど……」
何となく流れで連れてきてしまった一石に申し訳なさを感じながら、代わりに紹介する。
「この人は私の上司なんです」
「え? 旦那じゃなく?」
私と一石は、同時にピシャリと固まった。
「な、仲良くさせていただいてますが、上司と部下という関係です」
「え? 本気で言ってる? ……上司と部下が一緒にスーパー寄って帰ってくる? あ、もしかしてまだ彼氏?」
「そ、そうではなくて。これはさっき、たまたまスーパーを出たところで出会ってですね」
「会社に戻るがてら荷物持ちさせられてただけ」
「ちょっと一石さん。それだと私がさせたみたいじゃないですか」
「別にいいじゃん。結果としては同じことだろ?」
同じじゃありませんよ! と反発している様子を、砂押はどこか楽しそうに眺めていた。
「ただの上司と部下にしては仲がよすぎますねえー」
「こ、これにはいろいろと事情が……」



