「初めまして、砂押 糸でーす。青崎くんに勉強教えてもらいに来ましたー」
そう自己紹介してくれたボブがよく似合う女子高生は、確実に黒瀬に匹敵するほど。美人系というよりはかわいい系だが、はっきりとした顔立ちで猫っぽく、どちらかというと小悪魔系寄り。
あまりそういう情報に詳しくない私でも、一目見ただけで目が釘付けになった。窓越しでなく直接その顔を拝見することができて有り難いと、心の中で感謝を込めて手を合わせたほど。
そんな彼女は宵と同じく生徒会に入っており、しかも副会長を務めているという。そして、将来女優になることを夢見ていると言われた時は思わず、そうですよね! と答えてしまった。
今日は、先日あったというオーディションのため、数週間休んでいた分の勉強を教えてもらいに、ここまで足を運んだそうだ。
(偉くて真面目でかわいいって。神様、それはあまりにも贔屓しすぎではないですか)
「つか誰だよ、家教えた奴」
「教育指導の先生だよー。停学中なら余計ちょうどいいって、宵ッチに丸投げしてた」
「あのハゲ。何のための停学なんだよ」
弟の新たな一面ににへらと笑っていると、目の前から「今すぐ帰れ」と無言の圧をマックスパワーで向けられてしまったので、この辺りで退散することに。



