「それでも、手を出すのは正直意外だった」と、ぱくり。
「何かの役に立つかもと思って。撮っといて正解だったね」
「本当にありがとう。弟にも快慶くんのこと伝えておくね」
それで、非常に申し訳ないのだけどと、あとの二人にも買ってきていた茶菓子を、よければ頼めないだろうかと頭を下げる。
本音を言えば家まで行って直接お礼を言いたいほどには感謝しているのだが、また喫茶店に来るとも限らないし、来たとしてもいつになるかはわからない。それに、名を明かして欲しくないというのであれば、お礼をしても困らせるだけになるかも知れない。
「それはいいけど、ピヨちゃん学祭来ないの? その時渡せばいいのに」
「実はその日、ちょうど仕事の予定が入ってて」
それも勿論本当の話。しかしそれ以前に大きな声で言われていた悪口をみんなに聞かれていると思うと、数人にしか顔バレしていないとはいえ他人の視線が気になって仕方がなくなってしまうだろう。考えただけでも胃が痛い。
「えー。来られるならピヨちゃんと一緒に学祭回りたかったのに」
「ごめんね? でも、誘ってくれてありがとう」
「でも、最初で最後の機会だし、もし少しでも顔出せそうなら来てよね」と言う彼から一枚、学祭のチケットを手渡される。
行けなかったら申し訳ないからと返そうとしたが、「サユチャンとイックンも来られないって言うし、持ってても虚しいだけだから」と言われてしまっては、素直に受け取るしかなかった。
「もし来られたら、しっかり見て回ってあげて。弟クン頑張ってるみたいだから」
「うん。ありがとう。そうするね」



