超が付くほど生意気な弟に、見てなさい!! あっという間に結婚するから!! と豪語しながら腹立たしさを存分に込めて思い切り玄関扉を閉める。
できるわけがないのにどうしてそう大きく出てしまったのか。言ってしまった後ではどうすることもできないが。
(せめて彼氏を呼んでくるぐらいにしとけばよかったかも)
そう反省していると、扉の向こう側から「行ってらっしゃい」と声が聞こえてくる。そんな挨拶がまたできるようになったことが嬉しくて、怒りはすぐに静まる。
そして自覚する。これが、俗に言うブラコンというやつかと。
* * *
「そっか。何とか丸く収まったみたいでよかったよ」
「おかげさまでね。ありがとう快慶くん」
出勤してその日の業務を終えた私は、菓子折を持って龍ノ平宅を訪れていた。勿論先日の礼をするためである。
「ピヨちゃん気にすると思ってたから何も言わなかったけど、結構前からあったんだ。わざと青崎クンに聞こえるように、大きな声でピヨちゃんの悪口言ってたから」
「それを考えると、弟クンはよく堪えた方だと思うよ」と、彼は早速持ってきた茶菓子に手を伸ばしていた。
「ただ、あの日は本当に酷くて。もう聞くに堪えなかったよ。聞いてた生徒全員ドン引いてたから」



