それを言われてしまっては、こちらとしても為す術はない。確かに一生の宝と言うが、数が多ければいいというわけでもない。気を許せる人が一人でも誰かいるのであれば、その人を大切にしてもらえればそれで。
そんな姉心を抱えたまま食器を片付けていると、宵のスマホに着信が。「もしもし。どうかしたか」と電話を取るや否や、彼は自分の部屋へと戻ってしまった。
(残念。もう少し話したかったのにな)
時計を見ると、休憩時間が終わるまでもう少し。そろそろ会社に戻らなくてはいけない。
洗い物が片付き終わった頃、電話を終えたらしい宵がダイニングへと戻ってくる。てっきりそのまま部屋に閉じ籠もるものだと思っていたから、ちょっと嬉しい。
「誰からだったの?」
「学校の奴」
(友達いるんじゃない)
「学祭の打ち合わせに出られなかったから、報告くれただけ」
なんてことはないという感じで大きな欠伸をしているが、今まででは到底することなどなかった会話だ。たったそれだけのことがまた嬉しくて、思わずまた涙ぐむ。「おい鼻水」と言われたので、すぐに謝ったが。
「そういえば、昨日初めて知ったけど、宵くんって頭いいんだね。しかも生徒会長もしてるなんて」
「勝手に推薦されて、勝手に選ばれただけだけどな」
「それでもちゃんと任された仕事はしてるんだもん。十分すごいよ」
べた褒めしたら「うるせえよ」と、スマホに逃げられてしまったが。



