久々に一緒にした食事は、今までで一番楽しくて、涙が出るほど美味しかった。
「いい加減泣き止めっつってんだよ! 鼻水の味しかしねえだろそれじゃあ!」と、存分に叱られてしまったけれど。
風呂に入った宵は、そのまま自分の部屋に戻って行った。名残惜しかったが、我が侭を聞いてもらえただけで、楽しい時間を過ごせただけでも十分かと、笑みを浮かべながら食べ終わった食器を洗っていた。
「おい」
「あれ? 宵くん、どうしたの?」
しばらくして、もう一度ダイニングに顔を出した彼は改まった様子で、僅かに頭を下げた。
「今日は悪かった。迷惑かけた」
「迷惑だなんて思ってないよ。心配はしたけど」
「それでも、悪かった」
「……謝らなくていいんだよ。だって、私たちは家族でしょう?」
ずっとなりたかったもの。ずっと避けていた言葉。
でも、きっと今なら言えると、心からそう伝える。少しでも、気持ちが届けばいいと。
「……はは。だな」
「宵くん……?」
「じゃ、俺反省文書くから。おやすみ」
「あ。う、うん」
おやすみなさいと、バタンと閉まった扉に声をかける。
(……それだけは、許してもらえないのかな)
彼は、『家族』に酷く傷付いたような顔をしたから。



