青い青い空


 一度そう思ってから、ふと我に返る。一緒に住んでいるのだから、ある程度の予測は可能かと。

 冷蔵庫のストックやレパートリー、喫茶店で選ぶメニューも、店長が口を滑らしていればそれも容易だろう。


「ごめんなさい」

「何が」

「夜ゲームしてる声うるさかったよね」


 多少の防音は効くにしても、隣の部屋ともなれば全てを防ぐことは難しかっただろう。かくいう私も、壁越しに宵の苛立った声は何度も聞いていた。


「別に。好きなことなら好きなだけすればいいだろ」


 今まで、これ以上嫌われることを恐れて、ずっと逃げ続けてきた。必要最低限の会話しかせずに。向こうはきっと、会話すらしたくないだろうと思っていたから。


「……おい鼻水」

「まだでてない」

「今にも垂れそうだから言ってんだよ馬鹿」

「だって。そんなふうに。おもってたなんてしらなくて」

「…………」

「よいくんがやさしいのは。ずっとまえからしってたはずなのに」


 馬鹿なことをした。馬鹿なことをしていた。よかれと思ってしてきたことは、どれだけ彼のことを傷付けてきたのだろう。