そう尋ねてみれば「存分にな」と返ってくる。弟にまで気を遣われて情けないと、小さく苦笑を漏らした。
「好きなもん鱈腹食ったら、いい加減鼻水止めろよ」
「どうして私の好きなもの知ってるの?」
「登場回数最多だから」
(完全に無意識だった)
レパートリーの少なさに落ち込んでいると、ピッと滴が飛んでくる。
「つめたっ」
「あと顔。馬鹿みたいにわかりやすい」
「……最近よくそれ言われるんだけど」
「何。堪えてるつもりだったわけ」
「うん」
「十段階評価の一」
手厳しい評価に思わず項垂れる。
「残念だったな」
「……ずるい」
「は?」
「宵くんばっかりズルい。私も宵くんの好物知りたい」
駄々を捏ねる私に「子供かお前は」と、呆れた様子で宵は手元の作業に戻る。
「必要ねえ」
「私には必要だから」
「俺には必要ねえ」
「他の好物も教えるから」
「ハイパーカップのバニラ」
「え?」
「お子様ランチに入ってそうなやつ」
「お、お子様ランチ……」
「固めのプリンと、喫茶店のホットサンド」
「……どうして……」
もう何年と、一緒に食事なんかしていない。互いが食事をしている時は、どちらかは不在か部屋に閉じ籠もっているだけ。
「相手するの面倒になってきたから、部屋でゲームでもしてろバーカ」
それなのに、ゲームの相手しか知らないようなことを、どうして彼は知っているのだろう。



