一度コホンと咳払いをした後、新堂は内緒話をするように耳元に口を寄せた。
「部署室に、お電話がかかってきてます」
「……私に?」
「対応は編集長がしてくださいました。折り返すように、急ぎ伝えてくれと」
(わざわざ職場に? 全く思い当たる節がないのだけど……)
捜させてごめんなさいと伝えると、「いえ、それは全然……」と、彼はどこか気が晴れない様子で視線を足元へと落としていた。それに、酷い胸騒ぎがする。
「電話のお相手は、わかりますか」
「それが、都立高校の先生だと」
(ということは、宵くんに何か……)
「俺も、詳しいことは知りません。でも、少し会話が聞こえてしまって」
「どんな内容でしたか」
「それが……」
――弟さんが、生徒に大怪我を負わせた、と。



