一度夏空に目を向けながら、別にいいんじゃないですか? とこぼした。
「恩とか仇とか、そんなこと考えられても、古葉さんは困りそうですし」
「まあ、あいつの性格上そうだろうな」
「一石さんが思うようにしていた方が、きっと古葉さんも嬉しいと思います。勿論私も」
「……お前も?」
「別に、思ったっていいじゃないですか」
「いや、まあ一応確認しただけ」
隣に立つ彼を睨むように見つめると、「あーまあ、なんだ」と、何故か照れくさそうに頭をぽんぽん叩かれた。
「結論から言うと、やぶさかでない」
「何の話ですか?」
「君は、少々危なっかしいので。まあ、僕でよければですが」
(君? 僕?)
話の意図がわからず首を傾げていると、「まあ、はっきりしない俺が悪いんだが」と、彼は一度咳払いをする。
「いいかい青崎くん。ナンパ男というものはだな、少なからず下心を持っている。僕も、その限りではない」
「でも一石さんには、成し遂げたいことがあったじゃないですか」
「そうだな。でもだからと言って、せいぜいあいつの本を渡すくらいだろ。追加の物語だって、拾い主に返せばそれで事は済んだはずだ」
「……何を、仰っているのかわかりません」



