『ねえ、青崎さんは本って好き?』
『……えっと』
『ははっ。ごめんごめん。無理に言わなくて大丈夫だよ』
『あ、あまり、文章を読むのは。想像力に欠如してるといいますか』
『あーわかる。文字だけだと想像ってしにくいもんな。んで気付けば同じとこを何度も読んでて……あ、悪い。俺変なこと言った?』
『その。お……お仕事上、本がお好きな方だと思っていたので』
『本は好きだよ。でも、やっぱり人それぞれ好みはあるから』
『ちなみに漫画は?』『あ。読みます。昔はアニメばかりでしたけど』『わかる。一回はまったらヤバいよな。ジャンルは?』『少女漫画も少年漫画も、気に入ったのがあれば』と、そんな話を幾度となく繰り返して、彼はようやく本題の話を切り出した。
『青崎さんはここで働いてるの?』
『あ。はい、アルバイトですけど』
『学生?』
『はい』
『就職先って決まってる?』
『えっと。高2になったばかりで、まだ就職とかは』
『え。本当? いやごめん、悪気はなくて。随分落ち着いてるから、てっきり大学生くらいかと』
『い、いえ。えっと……?』
どうして彼が、いきなりそんな話を切り出したのか。そちらの方が気になって、視線でそっと促した。
『もしよかったら、俺と一緒に、ある作家を有名にしてみない?』
取り敢えず、とんでもなく突拍子もないことを言われたのだけはわかった。



