でも大丈夫。怯えていたら何も始まらない。
それに、今の私には、やらなければならないことがある。
(一石さんや佐裕子さんばかりに頼ってたらダメだ)
彼らばかりが授賞式を開きたいと思っているのか。
「負けられないので、休んでなんかいられません」
私の中にだって、その思いはいっぱい詰まってる。
「そうか。ま、無理はするなよ」
「はいっ」
クラシックをBGMにモーニングが運ばれてくる。ホットサンドと焼きプリン。コーヒーは飲めないから、代わりにアイスミルクティーを添えて。
どこか優雅な空気感の中、二人手を合わせて朝食をいただく。ゆったりと落ち着いた時間だった。
(……さっきのは多分、掘り返さない方がいい)
落ち着いたところで思い返されるのは、先程の出来事だ。
“――これでチョロ崎とか、勘弁しろよ”
うろちょろしていないこと言うと、彼はそういう意味ではないと言った。
でなければどういう意味で言ったのか。勿論心当たりはあるが、口に出せばそれは墓穴。口は噤んでおいた方が身のためだろう。



