その時、ヒュンッと空気を切るような音がした。その直後にガシャンと、何かが割れる。
ゆっくりと、先程まで座り込んでいた場所に視線を落とす。そこにあったのは、木っ端微塵になった植木鉢のようだったもの。無残にも広がった土と、転がり落ちた花だったもの。
呆然と立っていると、両肩が強く掴まれて揺らされた。
「大丈夫か青崎! 怪我はしてないか!」
「あ。は、はい。土が飛んできたくらいで、破片は来なかったので……」
“――今うろちょろしてないじゃないですか!”
でも、一石と口論していなければ、私は絶対そこに座り込んだままだった。
「あの、一石さん。ありが――」
「この子に何のご用ですか」
感謝の言葉は、店からフライパンを持って出てきた、店長のかおんに遮られた。
「理由によっては、警察を呼ぶ前に手を下しますよ」
「ま、待ってかおんさん、この人は」
「店長さんですよね。この植木鉢に見覚えはありますか」
「……植木鉢?」
そう聞かれてようやく、かおんは事の次第を把握したらしい。



