「でも、いろいろ納得しました。特に、嘘吐き上司がどうして大爆笑したのかとか」
「おい。悪意があるぞ」
「そういうことなら、早く言ってくれてたらよかったんですよ」
「決まってもいないことをそう簡単に漏らすわけにはいかんだろ」
「だって、避けてたのが馬鹿みたいじゃないですか。合わす顔がないとか思ったり」
「今普通に合わせて話してるけどな」
その後、私の帰宅に合わせて一石と佐裕子の二人は出勤することに。佐裕子は授賞式の打ち合わせで、数駅手前の駅で降りていった。
「あ、いえ。私のことじゃなくて一石さんが」
「は?」
「言えないからって逃げてたの、正直ちょっとどうかと思うので私」
「容赦ねえなお前」
まるで自分を見ているようだから、とは敢えて口には出さないが。
秋のコンテスト宛てに届いた【青い青い空】。その違和感を一番に察した彼は、このことを佐裕子に報告したそうだ。
古葉龍青が生きているかもしれない――と。
一石と共に目の前で彼を天へと送った佐裕子は、その応募作を読んだところでせいぜい二次小説くらいにしか思っておらず、当時はそれ以上上に報告することはしなかったそう。
しかし、時が経つにつれ何度も届く【青い青い空】。そして、諦めようとしない一石の熱意に、一度上へと掛け合ってみることにしたという。
勿論そのような不確定なものは鼻の先であしらわれ、議題に上がることすらなかったが、それならばと二人は食い下がったそうだ。
これが本人のものなら、幻となってしまった授賞式を、もう一度させてください――と。



