『――どこ見てやがる! 死にてえのか?!』 『すっ、すみません!』 あれはもう、十年以上も前のこと。横断歩道が赤になっていたのに気が付かなかった私は、ある人を追いかけていて、危うく車に轢かれそうになっていた。 『みて! おっきなにじぃ~!』 『あら。本当ねえ』 ちいさな子供とおばあさんの睦まじい会話を聞きながら、膝と腕に付いた砂を払い、ゆっくりと立ち上がる。 『……常連さんだし、またすぐ会えるよね』 先程まで追いかけていた男性の姿は、もうどこにもなかった。