そして瞬きの後、円卓からは藍色の衣を残して全ての色が消えた。
『人間の言葉にあるよね。確か、逆鱗に触れる?』
「言い得て妙な話だ」
『取り敢えず、今回の会議内容は【売られた喧嘩はどうするか】って解釈でOK?』
「ふはっ。……ええ。それで構わないよ」
『てかみんな血の気が多いね』
「そう言うお前は違うのか?」
碧――そう呼ばれた者は、目深に被っていた衣を剥ぐ。
しかし、顔と思しき場所は長い前髪で覆われ、見えるのは僅かに薄く開く唇のみ。
『どうだろう。まあ人間にしては、割と気に入ってる方かな』
「どちらを?」
『藍サンやけに突っかかってくるじゃん』
「お前にだけではない。今散り散りに去って行った色たちにも、私は同じようなことを思っているよ」
『まあ僕らはさておき、それぞれ思うことはあるだろうね』
「ちと人の世に干渉しすぎな気がしなくもないがな」
『これもいい機会なんじゃない? みんな、使用者に同調してる。正直、あわよくばとか思ってるだろうし』
頭を抱えた藍に、碧はふっと笑いながら続けた。
『きっと大丈夫だよ』
「何を根拠に」
『白チャンと黒クンが今もここにいないということは、過去と全く同じじゃない』
「…………」
『人の言葉に【歴史は繰り返す】ってあるけど、まだそうはなってない』
「だから何だと言うんだ」
『うん。だからさ、信じてみようよ』
「何を」
『僕らの元へと辿り着いた、根性ある使用者を。それから、芽生えた僕らの、人としての心を』
少なくとも今自分たちの中には、全うしなければならない思いと同じくらい、強く溢れるものがある――――。



