「彼の者が去り十幾年。我々にとっては瞬きの間しかなかったその空間に、どうやらクラッカーが現れたようなのだ」
「クラッカーって、確か人間の食べ物ですよね?」
「紫電の。潮騒のが今言っているのはそうではない」
「アースさんわかるんですか? 横文字苦手なのに」
「クラッカーっていうのは、人間の世界でいう、クラッキングをする人のこと。ネットワークシステムとかに不正に侵入する、悪質な行為をする人のことをいうんだよ」
「え? トゥウィンクルさん、どういうことです?」
「……ねえ、それやめない? 全部が全部横文字になったらかっこよくなるわけじゃないし」
「じゃあスターさん!」
「うん。もうなんでもいいや」
溜め息を落としながら、瞬く衣から星を一つ千切り、その者は答える。
「侵入者。つまり邪魔者が、この世界にまで介入してきたってことさ」
「そうだよね?」と、流れてくる視線を受け止めた藍は、再びビードロ玉を鳴らした。
「幾度となく世界を渡り歩き、そして彼の者はこの世界へと辿り着いた」
「そして、愚かな人間の願いが叶う、たった一つの世界へと塗り替えた」
と、藍に続いた黄は、また一つ星を千切る。
「だから人間くんは、境界を千切るのを辞めたんですよね?」
「かわいそうなまでに残酷な定めを知っても、その人間は自分の定めを受け入れたはずです」
と続いた紫と赤に、大きく頷く翠と橙。
「それはあの、死に様を無慈悲に貪り食らう神も知ってるはずだ」
「神に邪魔をされ、二色の犠牲を払ってようやく我々の任は成されたというのに……」
それぞれの瞳らしきものに灯るのは、闘志の炎か。或いは、報復の念か。



