『そんなこと聞くってことは、好きな人いる?』 『いるけど、キスとかは無理かも』 『因みになんだけど、したいなって思う人はいないの?』 『え?』 『考えたことない?』 『えーっと……』 一度だけ。一人だけ、考えたことがあった。どうしてあの人にだけ考えることができたのか。その理由は、わからないままだったけれど。 ――今なら、わかる。 「……ふふっ」 私は、涙を拭ってから、今できる精一杯の笑顔で答えた。