だからって、敏感な乙女心をそう簡単に刺激して欲しくはないのだが。
「青崎」
「はい」
「悪いが一瞬待ってもらっていいか」
「はい。一瞬と言わずいつまでも」
それから、ダイニングテーブルに向き合うように腰掛けた私たち。互いの目の前にはビールと、これでもかというほど炭酸で割った梅酒が置かれている。
「うん。いいよ。僕も待ってるね」
そして、誕生日席には美味しそうにビールを飲む快慶の姿があった。
「快慶」
「何?」
「お前は部屋に戻れ」
「えー。せっかくオネーサン来てくれたのにー。イックンの人には言えない恥ずかしい話聞こうと思ったのにー」
「余計居座らせて堪るか。さっさと部屋に戻れ。んでもって好きなだけゲームでもしてろ。小説書いてろ」
「そうやって追い出して。人には言えない恥ずかしいことするんじゃないのー?」
「お前がいるところでするか」
「え。いなかったらする予定だった? 僕暫く出てようか?」
「そういう気遣いは要らないから部屋に戻れって言ってる」
「先にお風呂入ってからでいい?」
「さっさと行け」と背中を蹴っ飛ばし、一石はダイニングから快慶を追い出した。
急に静かになった部屋に、気まずい沈黙が流れる。
「おい青崎。まさかお前まで俺が変なことすると思ってんじゃないだろうな」
「そんなこと思うわけないじゃないですか」
ただ、さっきの今でこの状況だから、そういう発言を言うだけ言ってこの場からいなくならないで……と、快慶には思っているけれど。流石にまだ、動揺は隠しきれないから。



