おろおろとしている私を見兼ねてか、一石の手がぽんと頭を撫でた。
「青崎はこういう奴なんで。話せば聞いてはくれると思いますよ」
「一石さん……?」
僅かに憂いを孕む表情に、濃い既視感がやってくる。
「……ま、何も言わずに連れて行かれる方が嫌か」
「あの、そのパーティーというのは……」
そこに、何かがある。
彼らが、わざと隠そうとした何かが。
「そのパーティーではね、多くの出版関係者が集まるの。そこで開催される、幻の授賞式をこの目で見届けるために」
「……幻の、授賞式?」
「ええそう。……十五年前に、とある作家が新人賞として受賞するはずだったものよ」
「……それ、って……」
私の震える手を取りながら、佐裕子は泣きそうな顔で微笑んだ。
「きちんと伝えるわ。だから、あなたにどうか、来て欲しいの」
「佐裕子さん……」
「だから、その目でどうか見ていてあげて」
あなたの目で。どうか。



