「それよりいいのか。ちゃんと説明しないと、次のターンで取り付く島もなくお前振られるぞ」
何事もなかったかのように振る舞う一石は、いつの間にか背に庇うようにして私の前に出ていた。
「ええ?! 伊代ちゃんダメ? 美味しいご飯食べに行かない?」
「お、美味しいご飯だけなら大変有難いんですが」
いろんなことについてはさておき、求められているのが癒やしとはいえ完全な人選ミスであることに間違いはない。
アルバイトで、尚且つ他の人たちよりも明らかに社会経験の少ない私が、そんな場所にそもそも出席することがおかしな話だ。そのせいで、彼女に泥を塗るようなことだけは絶対に避けたい。もっと適任者がいるはずだ。
「全然力不足じゃないのにい」
「本人の意志を無視して強要することをパワハラという」
「しないわよそんなこと。……してないわよね?」
「はい。そんなこと1ミリも思ってないです」
必要としてくれることは素直に嬉しい。でも、荷が重すぎる。彼女がそう思ってくれていても、周りがどう思うかわからないからだ。
「わかったわ。じゃあ私欠席」
「えっ」
「となると、付添人の俺も欠席と」
「ええっ?!」
これ、もしかしなくとも、絶対断れない案件なのでは。



