「ぎ、ギブギブ! もう勘弁してください!」
「どうせ彼女の良心に付け込んだんだろう」
「うっ。何故それを……」
「彼女の気持ちを蔑ろにすんじゃねえ」
「軽んじてるつもりはありません!」
「してんだよ阿呆。いいか、彼女の気持ちはな、最初から――」
プップー! と、クラクションが鳴り響く。どうやらヒートアップしすぎて歩道からはみ出してしまっていたようだ。
冷静になり、戻した傘を差してゆっくりと打ち上げ会場までの道のりを歩く。
「結果がわかっている以上、余計な真似はするなよ」
「どういうことですか?」
「外野が邪魔したら、くっつくもんもくっつかねえって話」
「……え。ほんと、どういうことですか?」
ここまで言ってもわからないのかと、頭を抱えるオレに「え? だってその方が不味いですよね?」と新堂は困惑した様子で続ける。
「編集長、専務とご結婚されてるんですよね?」
「……おい。それ、どこのどいつから聞いた」
「聞いたというか、会社の七不思議ですよ。逆に先輩が知らない方が不思議です」
「それ、青崎さんも知ってるのか」
「直接聞いたことはありませんが、結構有名な話なので、恐らくご存じなんじゃないかと」
「はあ。……そういうことかよ」
何かおかしいと思ったら……。気付いたら、大きなため息を落としていた。
「……完全自業自得じゃん」
「由良野さん?」
「おい新堂」
「はい?」
「今日はとことん付き合えよ。拒否権は無し」
「え?! ちょ、話逸らさないでくださいよ!」



