青い青い空


 不意に足を止めると、二人がぴたりと足を止めた。


「ごめんなさい。私、戻らないと」

「え? ど、どうしてですか」


 勢いで言った手前、何の理由も考えていなかったので頭が真っ白になる。何かを言おうと思っても、悲しそうな顔をする新堂に、上手く言葉が出てこない。


「早く戻れば」


 そんな私の肩を、由良野がとんと叩いた。


「やり残したことがあるなら、さっさと片を付けて」


 察しのいい彼が、どこまでを察したのかはわからない。


「……っ、ありがとうございます!」


 でも、彼がいてくれてよかった。今は心から、そう思う。


 ♦


 跳ね返る雨水も気にせず走って戻っていく彼女の背中を、静かに視界の端に入れる。ビルの中に入ったのを確認してから、ゆっくりと歩みを進めた。


「あ。……ちょっと由良野さん、よかったんですか」


「さっきあれだけ駄々こねて連れてこいって言ってたのに」と、新堂は未だに彼女の方を振り返ったまま。


「行くぞ新堂」

「めっちゃ拗ねてるくせに」

「いいんだよ」

「誰がどう見てもいいって顔じゃないし」

「いいっつってんだろ」

「本音は?」

「……いいんだ、これで」

「……普段もそれだけしおらしくしてればいいのに」