「……それで?」
一息ついたところで、一石はコーヒーに口を付けながらこちらをちらりと見上げた。
「どうしてまだ青崎さんは残っているのかな?」
「もう帰りますよ」
「俺は理由を聞いているんだが?」
「そうですねえ……」
理由としては完全なサービス残業に他ならなかったので、それらしいものはないかと辺りを見回してみることに。
すると、編集長のデスク横に【秋のコンテスト応募作品】と書かれた、ちょうど良さそうな段ボールの山があるではないか。怒られずに済むかと思うと、足が自然とそちらへと向かう。
(あれ。これって――)
そして、その一番上に乗っかっている封の開いた封筒に手を伸ばす。
差出人は『黒瀬 雅-MIyabi kurose-』と書かれていた。



