『先輩を敬っていない青崎さん、ちょっといい?』
『先輩の顔を見て顔を真っ青にした青崎さん、コーヒー』
『先輩の指示無視した青崎さーん。肩揉んでー』
主にそんな前置きを置いて名前呼ばれただけだけど、私の立場を危うくさせるには十分すぎるものだった。よっぽど今まで恨み辛みが溜まっていたに違いない。
「それでも何とか一週間は乗り切れたものの、来週もこんなだったら本気で嫌すぎる」
おかげさまで、新堂くんのことについては考える余裕すらなかったけど。如何せん、これからどうしたものか。
「青崎さんは、いつまで残業をする気かな?」
思わず頭を抱えていると、パコッと何かに頭を叩かれる。振り返るとそこには、笑顔で青筋を浮かべながら仁王立ちしている一石が。
「いつも、あれだけ、残業するなと、口を、酸っぱくして、言ってるはずなんだが……」
「な!」と、喋る度にパコパコと軽く丸めた紙で頭を叩いてくる。けれど、その顔はもうすでに編集長の威厳を保ってはいなくて、ふっとやさしい笑みがこぼれていた。なんだかんだと、叩いてくる加減もべらぼうにやさしかった。
「すみません。仕事をしろと言われたもので」
「いつの話を持ち出してくるんだお前は」
「ふふ。……すみません、つい」
「青崎?」



