悩む時間を設けたからか、少しだけ感じた違和感に彼の方を振り返る。彼は、どういう意味で「顔に出やすい」と言ったのか。
もしかしたら本当にその言葉の通りかもしれない。でも、もしかしたら違うかもしれない。その心当たりが、私には一つだけあった。
それは、15時まで新堂が内勤だったこと。恋愛初心者が、告白してくれた相手と普通に接することなどできるわけもない。
しかも、相手はワンコ気質で、加えて「目で追っていた」なんて言っていた相手だ。ずっと見られていると思ったら、仕事になるわけがなかった。
上げた視線の先にあった時計は、15時半を差している。
(さっき、本当になんて言ったんだろう)
それがわかれば、わかる気がする。でも何故か、そのままでもいいような気がした。
「あの。ありがとう、ございます」
そう口に出してから、気付いた。謝罪はあっても、感謝を告げたことは一度もなかったかもしれないと。
すると由良野は手招きして、私の頭の上に何かを置いた。
「手伝いご苦労様」
やっぱり今日は、槍が降ってくるかもしれないなと思っていた矢先。受け取ったそれに、思わず顔が固まった。



