青い青い空




 行く先々の世界で、彼女は必ずその世界から消えてなくなった。勿論、その世界の自分に出会うこともあった。もしこの死神の言うことが本当だとしたら、どの世界でも必ず彼女に関わりを持っている。

 ――それでも、虹を探したのはきっと、この僕だけだ。



『でも、ボクにキミは殺せない。キミはもう人間じゃない。神に近い存在なんだ。それに……』

(まだ僕の命は尽きないって? 悪いけど、尽きてこの体になったんだ)


 そして、運命を知った今、もうこんな力も、こんな体も必要ない。



(僕は、どうしても彼女の願いを叶えてあげたい)


 必要なものなんて、この思いだけで十分だ。



『二つの神にその力を授かったキミは、この世の繋がりや理を無秩序に崩した大罪人であり、神にも近しい存在でもある。でもその神の力を、魂と体から引き剥がすことができれば、もしかしたらキミの狙い通りになるかもしれないね』


 ひと頻り悩んだ死神は、『うん!』と大きく頷いた。



『キミと彼女の未来に、幸せがあらんことを』

(……ありがとう)

『何か未練はある?』

(未練……)


 改めてそう言われて、注文を取っている彼女に視線を向ける。未練など、無いはずがなかった。



(……少し。もう少しだけで構わない。時間をくれないか)

『いいよ。じゃあボクは、それまでに準備を進めておくよ』

(ありがとう)

『……死神に感謝するだなんて。本当に最初から最期まで愚かな男だな、キミは』


 そう言って死神は一度、この世界から姿を消した。