申し訳なさそうにしている彼女の頭の上に、ぽんと手の平を乗せる。薬指に、彼女と同じ指輪を嵌めた左手を。
「これ以上ないほど、佐裕子は十分に助けてくれた。逆に言うけど、これ以上応援されてどうしろってんだよ。どんなことさせられんだよ俺」
「んーそうね。週末の打ち上げで、腹躍りでもしてみたらどうかしら? そうしたら、伊代ちゃんとも仲直りできるかもしれないわね」
隙を突かれ、思わず項垂れる。
「……一生できる気がしねえ」
「面倒くさい男はただ嫌われるだけね」
最後の一言は、効果抜群だった。
「あと、会社の中では専務だから」
「わかってますよ」
言いながら睨み付けた顔は、きっと全くと言っていいほど納得してはいないだろうけど。
エレベーターが目的地に着いた頃には、もう十分に覚悟はできていた。
「今日で決着を付けるわよ。龍ノ平編集長」
「はい。専務」



