「僕が直接見聞きしたわけじゃないんだけど、ある時一人の女の子の願いを叶えたくて、自分の命まで投げ出した愚かな人間がいたんだって」
静かな部屋に、クリック音が響いた。
「その気持ちは到底理解なんてできないと思ってた。けど、自己犠牲スタイルを一向にやめないプレイヤーが、一番欲しいものを手に入れた時、どんな顔をするのかなって。そう思ったら、気付いたら一番になってた」
パソコンの画面には【PIYOへギフトしますか?】とメッセージが表示された。
「努力は嫌いだけど、その間ずっと楽しかったんだ。ピヨちゃんが喜んでくれたらいいなって。それしか考えてなかったよ」
「……どのくらい努力したの?」
「言ってそんなにしてないんだけど。イベント期間中授業を何回か休んだくらい」
「それはとても褒められたものではないし、大人としては叱るべきなんだろうけど」
それについては、今だけ聞かなかったことにしておこう。
「ありがとう。すごく嬉しい。大切にする」
両手で彼の手を握り返すと、少しだけ驚いたような気配が伝わってくる。
「そうか。古葉龍青が見たかったのは……」
「快慶くん?」
「ピヨちゃん」
「何?」
「イックンと仲直りしないの?」
「……仲、直ってない?」
「古葉龍青が死んだ時と同じか、その次くらいにはまだ暗い」
「ご、ごめん」
「でも大丈夫だよ。ピヨちゃんなら」
「……うん。そんな気がする」



