青い青い空


 パクリと、饅頭を一口で食べてしまった彼は、喉に詰まったのか慌てて麦茶で一気に流し込む。


「あの頃のイックン、随分落ち込んでたんだ。自分のせいだって。彼の願いを叶えるって約束したのに、結局最期まで叶えてあげられなかったって」

(古葉さんの願い……)

「でもオネーサンに会って、すっかりやる気に満ち溢れた。きっと、オネーサンにあの本の続きを見せてあげることが彼の願いなんだと、イックンは思ったんだろうね」


 彼のようにここまではっきりとは言われてはいないが、本の閲覧許可が下りた時、彼が小さく呟いていたのを覚えている。

 これでやっと、叶えてあげられた――と。


「やっぱり、よくわからないね古葉龍青。もしかして、本当にパラレルワールドと呼ばれる並行世界からやってきたのかな」


「ま、死人に口なし。真相は闇の中だけど」と言う声をどこか遠くに聞きながら、視線を膝の上に置いている手を通り越し爪先まで落とした。


“――そうでなかったら、()()()()()()()()()()()()()()


 なるべく考えないようにしていたことを、どうしても思い出してしまいそうになるから。


「オネーサン?」

「あ。ごめんなさい。ちょっと考え事を」

「ちょっと休んでいく? お茶飲んで。冷房寒い? 温度上げようか」

「だ、大丈夫ですよ」

「……気付いてない?」


 ――今、オネーサン泣きそうな顔してるよ。