今まで、幾度となく苦しんでいるのを見てきた。『見守る』なんて言い方したところで、結局は何もならない。
ただ、その命が消えていくのを見ているだけしかできなかった。何度も何度も。救えたかもしれない命を、見す見す見逃した。
「俺は後悔してんだ。だから、若い奴らを見ると放っておけねえ」
『ほんと、誰よりも人間らしいんだから』
ふっと小さく笑う彼女に、すかさず「おい」と食い付く。
「馬鹿野郎が。お前のことも入ってんだよ」
『若人と一緒にされるほど若くないわよ』
「俺より生きた年数短かったら全員もれなく若人なんだよ」
『何それ。新解釈過ぎるでしょ』
くすくすと可笑しそうに笑う電話口に、チッと大きく舌打ちを打つ。
「俺や彗星に何の相談もなく、一石と二人で勝手に決めやがって」
『何のことだか、皆目見当も付かないわ』
「いい加減にしろよ佐裕子。いつまでも子供みたいに駄々捏ねてんじゃねえ」
『しょうがないでしょう? あなたよりも年は下だもの。私ももれなく若人なんでしょう?』
「ああ言えばこう言いやがって……」
『そもそも、柳一さんが一体何を言いたいのか。全く以てわからないけど』
『でも』と、束の間の沈黙を寄越したあと、彼女は何か確信を持った様子で呟いた。
『もう少し。……もう少しだけ、待って頂戴』



