“――いよちゃんのこと、だーいすきだもん!”
私は、あの時の言葉があったから、どんな苦しいことも堪えられた。
「人生楽しく、か」
「少しずつでも、ご自身に自信が持てるようになればいいんじゃないでしょうか」
「すぐには難しいですけど、頑張ってみたいなと思います」
「あなたは十分ご立派な方ですよ。あなたご自身にその自覚がなくても、あなたの周りの人間はちゃんと気付いています」
ふっとやさしい笑みを浮かべた右京は、そのまま手に持っていた煙草の箱をポケットに収めようとしていた。
「私は、右京さんこそ立派な人だと思いますよ」
「今僕の話はしていませんが、まあ褒め言葉は素直に受け取っておきましょう」
「あなたにその自覚がなくても、私はちゃんと気付いてますから」
「……青崎さん?」
今まさに収めようとしていた手を取って、箱ごとごっそり奪い取る。
驚いている隙を突いて、取り出した一本をそっと手渡した。
「相手の気持ちを考えないって仰っていましたけど、そんなことないですよ」
だって、私は知っているから。
「だってあれからずっと悩んでくれたのでしょう?」
あなたはやさしい人だ。厭みな言い方と素っ気ない態度で、もしかしたら敵を作ることも多いのかもしれないけれど。
「煙草が苦手なこと、気が付いてくれてありがとう。お礼に、もう一本だけなら許してあげます」
「ふっ。何ですかそれ」
何だかんだ、世話焼きですもんね。



