青い青い空




 すっかり長居をしてしまった私は、皿を洗いながら一度振り返る。お笑い番組でも見ているのか、楽しそうな声にふっと笑みをこぼれた。


「僕なりに、青崎さんが仰った言葉の意味を、あれからずっと考えていました」


 換気扇の下で煙草を吸う右京は、静かにそう切り出す。


「私、何言いましたっけ」

「どうしてあなたは、自分を欠陥人間だと、冷めた人間だと思っているのだろうかと」

「…………」

「あの時も去り際に言いましたが、あなたは冷めた人間などではないと思いますよ」

「そんなこと」

「あなたはただ、傷付くのが怖いだけでしょう」


 不快に眉を顰める。彼の吸う煙草の煙が、鼻についた。


「それは、そのこともご存じだったという顔ですね」


 不快だ。何もかも。

 いつも全て、何もかもを言い当てられるから。私が守りたいものを、悉く彼は壊してくるから。


(……きもち、わる……)


 なりたい自分に。なっていなければいけない自分に、なれなくなるから――。



「青崎さんって、昔からそうなんですか?」


 暗く沈んでいた意識が、比較的明るい声にふっと呼び戻されていく。


「だ、だったら何なんですか。何か文句でも」

「いえ、単純にすごいなと思って」