「青崎さん」と言う声は、まるで駄々を捏ねる子供を宥めるようで。
「失礼します。野田柳一さんのご家族の方」
「はい!」
存分に大きな声で返事をした私は、立ち上がるなり彼を睨み付けた。
そして呆れる彼を余所に、ふんっとそっぽを向いた後、足音を響かせて病室を出る。
(右京さんが言っていることは正しい。おかしいのは、こんなにも腹を立てている私の方)
わかっていても、制御ができなかった。野田さんのことが、心配で心配で堪らなくて。
(だから、押さえきれなくて八つ当たりした。右京さんを悪者にして、楽になろうとした)
ただ、不安だった。怖かったんだ。
もし、このまま彼も永遠に目が覚めなかったらと思うと、気が気じゃなくて。
(誰かがいなくなってしまうのは……)
もう、いやだから――――。



