「……知っていたところで、私には何もできないだろうけどね」
「青崎さん?」
ぼそり、呟いた。痛む左腕をそっと摩りながら。
「取り敢えず新堂くんは、改めて謝礼の内容を考えておいてくださいね」
「えっ? いえいえ、服代で十分ですよ」
「それでは私が納得いかないので。だって命の恩人ですよ? せめて新堂くんが一番欲しいものにさせてください」
「……一番欲しいもの、か」
小さく呟いて、新堂は手元の缶コーヒーに視線を落とす。
「……何でもいいんですか」
「私でできることなら」
「じゃあ青崎さん」
「はい? 何でしょう」
返事をしたら、何故か彼は困ったように頬をかく。
「まあ、眼中にないのはわかってましたけど」
ちいさくぼそりと呟かれたそれに、先程の意味がようやくわかる。わかっても、どうしてなのか。それは理解できなかった。
「青崎さんには、いつも、本当に感謝してます」
「か、感謝しているのは私の方で」
「そうじゃなくて、違うんですよ。いろいろ……俺、いつも青崎さんからいろいろもらってるんです」
「いろいろ?」



